「ANAのマイルって、どうやって貯めればいいの?」「SFCに入会したいけど、どれくらい大変なの?」そんな疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。ANAマイレージクラブは、JALと並ぶ日本を代表する航空会社が提供するマイレージプログラムで、賢く活用すれば旅行がぐっとお得になります。
この記事では、ANAマイレージクラブの基礎から効率的なマイルの貯め方、SFC(スーパーフライヤーズカード)まで、初心者の方でも分かりやすく詳しく解説していきます。
ANAマイレージサービスの基礎知識
ANAマイレージクラブは、ANAが提供するポイントプログラムです。入会は無料で、年会費もかかりません。飛行機に乗るだけでなく、日常生活のさまざまな場面でマイルを貯めることができます。
マイルとは
マイルとは、航空会社が提供するポイントのことです。使い方次第でその価値は大きく変わり、例えば、国内線の往復特典航空券に必要な1万2千マイルは、通常なら3万円から5万円かかる航空券に交換できます。つまり、1マイルの価値が2円から4円になることもあります。
貯めたマイルは特典航空券への交換が最も価値の高い使い道ですが、それ以外にも座席のアップグレードやANA SKYコインへの交換、提携ホテルのポイントへの移行など、さまざまな用途があります。マイルの有効期限は、獲得した月から数えて36か月後の月末までとなっています。
ANAマイルの特徴
ANAマイルの最大の特徴は、提携先の豊富さと使い勝手の良さです。ANAはスターアライアンスという航空連合に加盟しているため、ユナイテッド航空やシンガポール航空など、世界中の提携航空会社のフライトでもマイルが貯まります。また、貯めたマイルで提携航空会社の特典航空券も予約できます。
国内線のネットワークも充実しており、地方路線でもマイルを使いやすいのが魅力です。さらに、ANA SKYコインという独自の電子マネーに交換することで、特典航空券が取れない時期でも柔軟に活用できます。この仕組みについては後ほど詳しく解説します。
ANAには「ANA経済圏」とも呼べる独自のサービス網があります。ANA Pocketという徒歩や自転車での移動でマイルが貯まるアプリや、ANAカードを使った日常の買い物、提携レストランやホテルの利用など、飛行機に乗らなくてもマイルを貯められる仕組みがあります。
プレミアムポイント(PP)とは?
プレミアムポイント(PP)は、マイルとは別に管理される搭乗実績に応じて付与されるポイントです。年間のポイント数に応じたステータスによって、優先チェックイン、空港ラウンジの利用、優先搭乗などの特典が1年間受けられます。
PPは、飛行距離(区間マイル)に運賃種別ごとの積算率をかけて計算されます。距離が長く、運賃が高いほど多くのPPが貯まる仕組みで、特典航空券での搭乗ではPPは貯まりません。PPは毎年1月から12月で集計され、年が変わるとリセットされます。
年間5万PPを達成すると、プラチナステータスに到達し、SFC(スーパーフライヤーズカード)の入会資格を得られます。このSFCについては、後ほど詳しく説明します。
ANAマイルの効率的な貯め方
ANAマイルを効率的に貯めるには、フライトだけに頼らず、日常生活のあらゆる場面でマイルを意識することが重要です。ここでは、具体的な貯め方を解説していきます。
フライトでのマイル獲得
飛行機に搭乗することが、マイルを貯める最も基本的な方法です。ANAグループの便に乗ると、飛行距離と運賃の種類に応じてマイルが付与されます。区間マイルに積算率をかけた数がもらえるマイル数になります。
搭乗時には必ずマイレージクラブの会員番号を登録しましょう。予約時にオンラインで登録できますし、空港のカウンターやチェックイン機でも登録可能です。搭乗後にマイルが反映されるまでには数日かかりますが、もし反映されない場合は搭乗券を保管しておき、後日申請することもできます。
また、スターアライアンス加盟航空会社のフライトでもANAマイルが貯まります。海外旅行で他社便を利用する際も、ANAの会員番号を伝えることでマイルを積算できるので、忘れずに登録してください。提携航空会社は世界中に広がっており、ユナイテッド航空、ルフトハンザドイツ航空、シンガポール航空など、主要な航空会社が含まれています。
日常生活でのマイル獲得
日常生活でマイルを貯めるなら、ANAカードの活用が欠かせません。ANAカードは、カード利用金額に応じてマイルが貯まる仕組みで、一般的には200円につき1マイルが貯まります。さらに、10マイルコース(年間手数料:5,500円税込)に加入すると、100円につき1マイルになります。
固定費の支払いをANAカードに集約することも効率的です。電気、ガス、水道、携帯電話、インターネットなど、毎月必ず発生する支出をカード払いにすれば、自然とマイルが貯まります。年間100万円の支出なら、10マイルコースで1万マイル貯まる計算です。
ANA Pocketというアプリも注目です。このアプリは、徒歩や自転車、電車など日常の移動を記録するだけでマイルが貯まります。特別な手続きは不要で、スマートフォンを持って移動するだけです。貯まるマイル数は少ないですが、通勤や通学、散歩など、毎日の移動が積み重なれば意外とバカになりません。
他にも、ポイントサイトを経由してネットショッピングをしたり、ANAマイレージモールといった提携サービスを活用することで、オンラインショッピングでもマイルを貯められます。楽天市場やYahoo!ショッピングなど、普段使っているサイトでも、ANAマイレージモール経由で購入すれば追加でマイルが貯まります。
マイルの活用法:ANAマイルでできること
貯めたマイルをどう使うかで、その価値は大きく変わります。ここでは、ANAマイルの主な使い道を解説します。
フライトのアップグレード
座席のアップグレードは、マイルの価値を最大化できる使い道の一つです。エコノミークラスで予約した航空券を、マイルを使ってビジネスクラスやファーストクラスにアップグレードできます。
アップグレードには条件があり、対象運賃で予約した航空券であることや、アップグレード用の座席が空いていることが必要です。繁忙期は空席が少ないため、早めの申し込みをおすすめします。国際線の長距離路線では、エコノミーとビジネスの快適さに大きな差があるため、アップグレードの価値は特に高くなります。
特典航空券の獲得
特典航空券は、マイルの最も一般的で価値の高い使い道です。必要マイル数は路線や時期によって異なります。国内線の場合、通常閑散期なら片道6千マイル、繁忙期なら9千マイルから利用できます。国際線は路線や座席クラスによって大きく変わりますが、例えば2025年現在ハワイ往復ならエコノミークラスで5万千マイルから必要です。この点はJALの4万マイルに対してより多くのマイルが必要になります。また、あくまで個人的見解ですが、ANAの必要マイルチャートは分かりづらく、JALのほうが利用しやすい印象があります。
・ANA国内線特典航空券必要マイルチャートはこちら
・ANA国際線特典航空券必要マイルチャートはこちら
特典航空券を取るコツは、早めの予約と柔軟なスケジュールです。特典航空券の予約開始は出発日の355日前からなので、人気路線やハイシーズンは早めの予約が重要です。また、出発日を平日にずらしたり、経由便を選んだりすることで、必要マイル数を抑えられることもあります。
また、ANAには「とくたびマイル」というキャンペーンがあり、対象路線を通常より大幅に少ないマイル数で予約することができます。対象路線や期間は定期的に更新されるので、こまめにチェックするとお得な機会を見つけられます。
ANA「とくたびマイル」キャンペーンページはこちら
その他の特典
特典航空券以外にも、ANAマイルにはさまざまな使い道があります。提携ホテルのポイントへの交換、電子マネーやギフト券への交換、商品との交換などです。ただし、これらは航空券に比べると1マイルあたりの価値は下がります。
体験型特典として、航空会社のラウンジ利用券や、提携施設での優待券なども用意されています。また、ANAの機体工場見学やコックピット訓練施設の見学などはマイルでの交換はできませんが、そのツアー料金をANA SKYコインで支払うことは可能です。
マイルの有効期限が迫っている場合は、ANA SKYコインに交換するという選択肢もあります。この仕組みについて、次のセクションで詳しく説明します。
ANA SKYコインの仕組み
ANA SKYコインとは?
ANA SKYコインは、ANAウェブサイトでの航空券やツアー購入代金の支払いに利用できる電子マネーです。1コイン=1円として使えます。マイルから交換することで入手でき、本人だけでなく二親等以内の家族も利用できます。
ANA SKYコインの最大のメリットは、通常の航空券購入に使える点です。特典航空券が取れない繁忙期でも、SKYコインを使えば実質的にマイルで航空券を購入できます。さらに、SKYコインで購入した航空券でも、通常通りマイルとプレミアムポイントが貯まります。これは大きな利点です。
また、マイルの有効期限が迫っている時に、SKYコインに交換しておくという使い方もあります。SKYコインの有効期限は交換日から12か月後なので、マイルの失効を防ぐ手段として有効ですが、SKYコインの有効期限にも注意しましょう。ANAアメリカン・エキスプレス・ゴールド・カードなどの上級カードを持っている場合、マイルからSKYコインへの交換レートが優遇され、最大1.7倍になります。
ANA SKYコインの利用方法
ANA SKYコインは、ANAウェブサイトで航空券やツアーを予約する際に、支払い方法として選択できます。事前にマイルをSKYコインに交換しておく必要があります。交換は1万マイルから可能で、交換レートは保有カードや交換マイル数によって変わります。
航空券・ツアー購入代金は全額をSKYコインで支払うこともできますし、一部だけ使って残りをクレジットカードで支払うことも可能です。また、座席のアップグレードにも利用できるため、柔軟な使い方ができます。
特にSFC修行を考えている方には、SKYコインの活用が有効です。特典航空券ではプレミアムポイントが貯まりませんが、SKYコインで購入した航空券なら通常通りPPが積算されます。このため、マイルをSKYコインに交換してから航空券を購入することで、効率的にPPを貯められます。
SFC(スーパーフライヤーズカード)と上級会員ステータス
SFCとは?
スーパーフライヤーズカード(SFC)は、ANAの上級会員向けクレジットカードです。一度入会すれば、カードの年会費を支払い続ける限り、フライトの回数に関わらず永続的に上級会員の特典を享受できます。
SFC会員になると、優先チェックイン、専用保安検査場の利用、手荷物の優先受取、空港ラウンジの無料利用など、さまざまな特典が受けられます。また、スターアライアンスのゴールドステータスが付与されるため、ANAだけでなく加盟航空会社のフライトでも同様のサービスが受けられます。
空港での待ち時間が大幅に短縮され、出発前にラウンジで食事やドリンクを楽しめるなど、旅行の快適さが格段に向上します。特に、国際線の長距離路線や、出張で頻繁に飛行機を利用する方にとっては、時間的・精神的なメリットが大きいです。
私はJALのJGCホルダーなので、ANAの上級会員特典は受けたことがなく、どのようなサービスかJALとの違いなど気になります。
プレミアムポイント(PP)の仕組み
プレミアムポイント(PP)は、ANAグループ便やスターアライアンス加盟航空会社便に搭乗した際に付与される、搭乗実績ポイントです。マイルとは別に管理され、年間の獲得PP数によって会員ステータスが決まります。
PPの計算方法は、区間マイル×運賃種別ごとの積算率に、搭乗ポイント(国内線400ポイント、国際線なら路線に応じたポイント)を加えたものです。例えば、羽田-沖縄間の普通運賃なら、区間マイル984マイル×積算率150%+搭乗ポイント400ポイント=約1,876PPとなります。
年間のPP獲得数に応じて、ブロンズ(3万PP)、プラチナ(5万PP)、ダイヤモンド(10万PP)のステータスに到達します。各ステータスでは、空港ラウンジの利用、優先チェックイン、ボーナスマイルなど、さまざまな特典が受けられます。

PPの効率的な貯め方(SFC修行の概要)
SFCに入会するには、年間5万PP以上を獲得してプラチナステータスに到達する必要があります。この過程を俗に「SFC修行」と呼びます。効率的にPPを貯めるには、PP単価(1PPを獲得するのに必要な金額)を意識することが重要です。
一般的に、国内線では那覇(沖縄)や石垣島などの長距離路線、国際線ではシンガポールやシドニーなどの中・長距離路線が、PP単価の面で効率的です。また、運賃種別によって積算率が異なるため、高額な運賃ほどPPが多く貯まります。
年間5万PPの達成には、一般的に50万円から100万円程度の費用がかかると言われています。ただし、路線選択や運賃種別、予約のタイミングによって大きく変わります。自分の予算と時間、そしてSFC取得後のメリットを天秤にかけて、修行するかどうかを判断しましょう。
SFC入会条件と特典
SFCに入会するには、まず年間5万PP以上を獲得してプラチナステータスに到達する必要があります。プラチナステータスになると、SFC入会の案内が届きます。この時点でSFC対応のANAカードに申し込むことで、SFC会員となります。
SFC対応のカードには、一般カード、ワイドゴールドカード、プレミアムカードなどがあり、年会費はカードの種類によって異なります。最も安価な一般カードでも年会費は1万円以上かかりますが、永続的に上級会員特典を受けられることを考えると、多くの方にとって価値のある投資です。
SFC会員の主な特典は、ANA国内線・国際線ラウンジの利用、優先チェックイン、専用保安検査場の利用、手荷物の優先受取、預け入れ手荷物の追加、優先搭乗などです。また、スターアライアンスゴールドステータスも付与されるため、提携航空会社でも同様のサービスが受けられます。
SFC会員の永続的な特典
SFCの最大の魅力は、一度入会すれば、その後は年間のフライト回数に関わらず、カードの年会費を支払い続ける限り永続的に上級会員の特典を受けられることです。つまり、修行が必要なのは最初の1年だけで、その後は飛行機にあまり乗らなくても、ずっと上級会員でいられます。
これは、他の航空会社の上級会員制度と比べても非常に魅力的な点です。多くの航空会社では、ステータスを維持するために毎年一定の搭乗実績が必要ですが、ANAのSFCは一度取得すれば生涯の財産になります。(JALのJGCも同様です)
家族でSFCを取得している場合、同伴者も一部の特典を受けられます。例えば、ラウンジには同伴者1名まで無料で入れるため、家族旅行の際にも快適さを共有できます。また、家族カードを発行すれば、家族全員がSFC会員として特典を受けられます。
年に数回しか飛行機に乗らない方でも、出張や旅行の際の快適さ、時間の節約、そして何より空港での優越感を考えると、SFCは多くの旅行好きにとって憧れのカードです。一生使える財産として、長期的な視点で価値を考えることをおすすめします。
ANAマイレージサービスまとめ
ここまで、ANAマイレージクラブの仕組みから活用方法まで解説してきました。最後に、重要なポイントをまとめます。
マイルとは
- 飛行機への搭乗や、ANAカード、提携サービス(ANA Pocket、ANA SKYコインなど)の利用で貯まる ANA独自のポイント。
- 最も価値の高い使い道は、特典航空券や座席のアップグレードへの交換。
プレミアムポイント(PP)
- マイルとは別に管理される 年間の搭乗実績ポイント。
- PPの獲得数で、1年間の優遇サービスが決定し、PPは毎年リセットされる。
- 年間5万PPを達成すると、SFCの入会資格を得られる。
マイルの便利な利用方法
- 貯めたマイルは、ANA SKYコインに交換可能。
- ANA SKYコインは1コイン=1円として航空券やツアーの購入に利用でき、マイルの有効期限が迫った際の 失効防止 にも役立つ。
- SKYコインで購入した航空券でも、通常通りマイルとPPが貯まるため、SFC修行に活用できる。
SFC(スーパーフライヤーズカード)
- 一度入会すれば専用カードの年会費を払い続ける限り 永続的な上級会員特典 (空港ラウンジ無料利用、優先チェックインなど)を受けられるプログラム。
- 入会資格を得るためには、年間5万PPの達成が必須(SFC修行)。
ANA経済圏の活用
- ANAカードをメインカードとし、ANA Pocketや提携サービスを意識的に利用することで、フライト外でも着実に大量マイルを獲得可能。
- マイルの有効期限管理を徹底し、ANA SKYコインや有効期限のないポイントプログラムを持つANAカードで失効リスクを回避することが賢い旅の専門家の必須テクニック。
ANAマイレージクラブは、日本の航空会社らしい「搭乗実績」を重視する伝統的なプログラムを堅持しています。短期間で上級会員を目指す「SFC修行」は、年間5万PPという高いハードルはありますが、一度達成すれば一生涯の快適な旅が保証されるという非常に価値のある投資です。
フライト外でのマイル獲得手段も充実しています。ANAカードを生活のメインカードとして使い、ANA Pocketで日常の移動をマイル化し、提携サービスを意識的に利用することで、着実にマイルを積み上げましょう。これは、飛行機に乗る機会が少ない人でも、ANA経済圏を最大限に活用できる大きなメリットです。
マイルの活用では、特典航空券への交換が最も価値が高い使い道ですが、ANA SKYコインとの組み合わせ利用という柔軟な選択肢があることも覚えておきましょう。繁忙期で特典航空券が取れない時や、PPを稼ぎたい時には、ANA SKYコインが強い味方になります。
このように、ANAマイレージクラブは、フライトでの実績(PP)と日常生活での経済圏活用(ANAカード、ANA Pocket)を両軸とし、SFCという永続的な特典によって、あなたの旅の質を生涯にわたり格上げしてくれるロイヤルティプログラムです。
最後までお読み頂きありがとうございました。何かご質問やお悩み、実践してみたいことがございましたら、ぜひコメント欄でお聞かせください。皆さんの旅がより賢く、思い出深い旅行になるよう、できる限りお手伝いしたいと思います。
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