マイレージプログラムとは?仕組みと基本

マイレージと書かれたブロックが置かれた台とパスポート マイレージプログラム

「マイルって聞いたことはあるけど、実際どうやって貯めるの?」「飛行機に乗らないと貯まらないんじゃないの?」旅慣れた方は当然ご存じの「マイル」ですが、今更聞けないそんな疑問をお持ちの方もいると思います。私も、初めて飛行機に乗って旅行した高校生の頃は「マイル」という言葉さえ知りませんでした。

本記事では、マイレージプログラムの基本的な仕組みから効率的な貯め方、賢い使い方、そして失効させないための管理術まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。

マイレージプログラムとは?

マイルとは?単なるポイントではないマイルの価値

マイルとは、航空会社が提供するポイントプログラムで貯まるポイントのことです。一般的なお店のポイントと似ていますが、その価値と使い道の幅広さはかなり違いがあります。

マイルは、貯まったマイル数に応じて特典航空券に交換することができます。例えば、2万マイルで国内線の往復航空券と交換できる場合、通常なら4万円から6万円かかる航空券が実質無料になるわけです。

さらに魅力的なのが、座席のアップグレードへの利用です。エコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードは、通常なら数十万円の追加料金がかかりますが、マイルなら2万から4万マイル程度で実現できることもあります。

日本の主要なマイレージプログラムとしては、JALのJALマイレージバンクとANAのANAマイレージクラブがあります。どちらも入会は無料で、登録するだけでマイルを貯めることができます。登録にあたっては、お得なキャンペーンや紹介制度を実施している場合があるので、事前によく情報を収集して会員登録することをおすすめします。

マイルの貯め方:飛行機の「搭乗」と「日常生活での消費」の2つの方法

マイルを貯める方法は大きく分けて2つあります。飛行機に乗って貯める方法と、日常生活の中で貯める方法です。

飛行機に乗って貯める方法は、最も基本的な貯め方です。航空券の予約時もしくは搭乗時にマイレージサービスの会員番号を登録することで、飛行距離や運賃に応じたマイルが付与されます。ただし、格安航空券の中にはマイルが貯まらない運賃や基本マイルの50%~75%しか加算されない運賃もあるので、予約時に確認が必要です。

もう一つの方法が、日常生活の中でマイルを貯める方法です。これは「陸マイラー」(おかまいらー、陸でマイルを貯める人の意味)と呼ばれる方法で、飛行機に乗らずともマイルを獲得できる方法です。

その中で最も一般的なのが、クレジットカード決済でマイルを貯める方法です。航空会社と提携したクレジットカードを使えば、日常の買い物や公共料金の支払いでマイルが貯まります。

さらに効率的なのが、ポイントサイトの活用です。ポイントサイトを経由してネットショッピングをしたり、サービスに申し込んだりすることで、追加でポイントが貯まり、それをマイルに交換できます。

私の場合、日常の支払いをすべてマイルが貯まりやすいクレジットカードに集約し、さらにネットショッピングの際は必ずポイントサイト(楽天リーベイツ)を経由するようにしています。特別なことは何もしていませんが、これだけでマイルは貯まります。

アライアンスとは?(JAL=ワンワールド/ANA=スターアライアンス)

航空会社は単独で運航しているわけではなく、世界中の航空会社同士が提携してネットワークを作っています。この航空会社グループのことを「アライアンス」と呼びます。日本の主要航空会社も、それぞれ世界的なアライアンスに加盟しており、この仕組みを理解することでマイルの活用範囲が大きく広がります。

世界には主に3つの大きなアライアンスがあります。ワンワールド、スターアライアンス、スカイチームです。このうち、JALはワンワールドに、ANAはスターアライアンスに加盟しています。

アライアンスに加盟していることのメリットは、同じグループ内の他の航空会社の便に乗ってもマイルが貯まることです。例えば、JALが加盟するワンワールドの会員なら、JAL便だけでなく、同じワンワールドに加盟するアメリカン航空、ブリティッシュエアウェイズなどに乗ってもJALマイルが貯まります。その際の注意点として、チェックイン時などに自分の属する航空会社を積算先として指定する必要があります

さらに、貯めたマイルを使って特典航空券を予約する際も、提携航空会社の便を利用できます。JALマイルでアメリカン航空の便を予約したり、ANAマイルでルフトハンザ航空の便を予約したりすることが可能です。これにより、マイルの使い道が飛躍的に広がります。

私も過去に、JALマイルを使ってカタール航空のパリ行きの特典航空券を予約したことがあります。近年燃油サーチャージが高騰し飛行機代がものすごく高くなっていますが、中東系のエアラインは燃油サーチャージが安いので、乗り換えで多少時間はかかりますが、カタールのドーハ経由でヨーロッパに行くことが多くなりました。このように、アライアンスの仕組みを理解しておくと、マイルの選択肢が大きく広がります。

ただし、アライアンスごとに提携先が異なるため、自分がどちらのプログラムをメインにするか決めておくことが大切です。JALとANAの両方でマイルを貯めるよりも、どちらか一方に集中したほうが、特典航空券に必要なマイル数に早く到達できます。

マイルを無駄にしないための使い方と価値の最大化

マイルの有効な使い方:特典航空券と座席アップグレード

マイルの使い道は様々ありますが、最も価値が高いのは特典航空券座席アップグレードです。

特典航空券とは、マイルを使って無料で発券できる航空券のことです。必要なマイル数は路線や時期によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。

特典航空券(目安マイル数)

国内線

  • 東京 ⇄ 大阪・福岡(片道):6,000マイルから
  • 東京 ⇄ 沖縄(片道):7,500マイルから
  • 往復の目安:12,000マイルから15,000マイル程度(通常3万円~5万円相当)

国際線

  • 近距離(ソウル、グアムなど)往復:15,000マイルから
  • ハワイ 往復:40,000マイルから
  • 長距離(ヨーロッパ、アメリカ本土)往復:50,000マイルから(通常10万円~20万円以上相当)

 ※国際線は別途燃油サーチャージと空港税がかかります。

もう一つのマイルの有効な使い方が、座席のアップグレードです。エコノミークラスで予約した航空券を、マイルを使ってビジネスクラスやファーストクラスにアップグレードすることができます。座席アップグレードの魅力は、通常では手が届かない上級クラスの体験を、比較的少ないマイルで実現できることです。

私自身、以前カリブ海への旅行でアップグレードを経験しました。往路はエコノミークラスで行き、復路は疲れていたので、当日にマイルでアップグレードし帰国しました。帰国の途で疲れていた身体には、このアップグレードは大変有難く快適に帰ってくることができました。

特典航空券以外の賢い利用方法

マイルの使い道は航空券だけではありません。

ひとつは、提携ホテルのポイントへの交換です。多くの航空会社は大手ホテルチェーンと提携しており、マイルをホテルポイントに交換できます。

そして、電子マネーやギフト券への交換です。楽天ポイント、Amazonギフト券、Apple Gift Cardなど、日常生活で使いやすい電子マネーに交換できます。交換レートは1マイルあたり0.5円から1円程度と、航空券に比べると価値は下がりますが、有効期限が迫っているマイルを無駄にしないための緊急手段としては有効です。

JALのポイント提携先

ANAのポイント提携先

ただし、これらの交換先は航空券に比べると1マイルあたりの価値は低くなりがちです。基本的には特典航空券や座席アップグレードを優先し、どうしても航空券が取れない場合や有効期限が迫っている場合の選択肢のひとつとして考えましょう。

その他、体験型特典への交換などがあります。航空会社のラウンジ利用券や、提携レストランでの食事券、ホテルの宿泊券、中にはコックピットのシミュレーション体験など、金額では測れない特別な体験に交換できます。

他にもさまざまなマイルの使い方がありますので、それぞれの航空会社のマイルの使い方のウェブサイトをチェックしてみてください。

「ステータス(ステイタス)」の仕組みとサービス

マイルとは別物!ステータス(ステイタス)とは?

マイレージプログラムについて調べていると、「マイル」とは別に「ステータス(ステイタス)」という言葉を目にすることがあります。実はこの2つは全く異なるものです。

マイルは貯めて使うポイントのようなものですが、ステータスは「会員ランク」のこと。ステータスが上がり航空会社の上級会員になると、マイルとは別に様々な特典が受けられるようになり、専用カウンターでの優先チェックイン、無料の受託手荷物追加、空港ラウンジの利用、優先搭乗などができるようになります。

そして、ステータスはただマイルを貯めるだけでは上がりません。ステータスを獲得するには、航空券を購入して飛行機に搭乗しながら、マイルを貯めるのとは別の基準を満たす必要があります

ここで重要なのは、ステータス獲得ポイントは「マイル」とは違い、毎年1月から12月でリセットされるという点です。マイルは使えばなくなりますが、ステータスは1年間で獲得したポイントで決まる「搭乗実績」で決まります

ステータス獲得ポイント(FLY ONポイント/プレミアムポイント)のしくみ

上級会員ステータスを獲得するためには、マイルとは別に、専用のポイントを貯める必要があります。JALでは「FLY ONポイント」、ANAでは「プレミアムポイント」と呼ばれ、基本的なしくみは同じです。

これらのポイントは、実際に航空券を購入して飛行機に搭乗することでのみ貯まります。マイレージ特典で搭乗した場合には付与されません。航空券を購入して飛行機に搭乗すると、マイルと同時にこのポイントも貯まるというしくみです。

ポイントは、飛行距離(区間マイル)に運賃種別ごとの「積算率」をかけて計算されます。つまり、単に距離が長いだけでなく、高い運賃で搭乗するほど、多くのポイントが貯まるしくみです。ステータス獲得は、一年の間に何度も継続的に飛行機に乗る人もしくは高額な運賃で搭乗する人向けの制度です。

1年間の間(1月1日から12月31日)に各航空会社が定めるポイントを獲得すると、ステータスが確定します。JALとANAの主要ステータスに必要なポイントは以下の通りです。

JALサービスステータス獲得に必要条件
※JALグローバルクラブ(JGC)の入会資格は、後述する「Life Status ポイント」で権利獲得条件を満たす必要があり、サービスステータスだけではJGCには入会できません。

ANAステイタス獲得に必要な条件

これらのステータスに応じて、さまざまな特典が受けられるようになるのが「マイレージ」とは違う「ステータス(ステイタス)」です。

ステータス(ステイタス)の生涯会員資格とJALの新生涯制度

継続的に飛行機を利用する方がステータスポイントを貯める大きな目的は、JALのJGC(JALグローバルクラブ)やANAのSFC(スーパーフライヤーズカード)という「生涯会員資格」を得ることにあります。

これは、年に一度きりのステータスではなく、一度獲得すれば飛行機に乗らなくなっても該当のクレジットカードを保持している限り特典が一生涯続くという特別なしくみです。また、この特典は先に述べた同じアライアンスの航空会社でも特典を受けることができます。

会員資格を維持し続けるための大切なポイント

この「一生涯の特典」を継続するためには、いくつかの大切なポイントがあります。それは、資格取得後に発行する専用のクレジットカードの年会費を毎年払い続けることです。年会費を支払うことで、飛行機に乗らなくなった後も、あなたの会員資格が維持されます。逆に、もしこの専用カードを解約してしまうと、同時にJGCやSFCの会員資格も失われ、特典が受けられなくなってしまうため、カードを持ち続けることが、会員資格を維持する条件となります。

JALの新生涯制度【Life Status プログラム】

JALでは2024年1月から、従来の搭乗実績(FLY ONポイント)とは別に、「JAL Life Status プログラム」が始まりました。これは、搭乗だけでなく日常のクレジットカード利用などでも貯まる「Life Status ポイント」を積み上げることで、別の生涯特典を得られる新しい仕組みです。この新しいプログラムにより、あまり飛行機に乗らない人でもJALの上級会員資格を獲得する可能性が広がりました。

生涯会員資格獲得条件の概要

2024年1月以降、「JAL Life Status プログラム」のサービス開始によってJALのJGC入会の条件が大きく変わりました。従来は年間50,000 FOPを獲得してJMBサファイアに到達すれば、JGC入会資格が得られました。しかし、2024年以降はLife Status ポイント1,500ポイントの獲得がJGC入会の必須条件となりました。

FOPでのJMBサファイア到達自体は可能ですが、JGC入会には別途Life Status ポイント1,500ポイントが必要です。つまり、年間50,000 FOP獲得だけではJGCに入会できません。これにより、従来のような1年間の集中搭乗による「JGC修行」は事実上終了しました。

一方、ANAのSFC(スーパーフライヤーズカード)は、2025年現在も従来通り年間50,000プレミアムポイントでプラチナステータスに到達すれば入会資格が得られます。

JGCやSFCの資格を得れば、マイルの管理や搭乗回数を気にすることなく、該当のクレジットカードを保有している限り生涯にわたって旅の快適さが保証されます。この資格こそが、快適な旅を求める方にとっての最大の目標となります。

ステータス(ステイタス)で得られる具体的な特典と価値

上級会員ステータスを持つことで、旅の体験が劇的に変わります。金額では測れない快適さと安心が得られるのが、ステータスの最大の魅力です。

最も実用的な特典が、空港ラウンジの利用です。出発前の待ち時間を、混雑したロビーではなく静かなラウンジで過ごせます。ソフトドリンクやアルコール、軽食が無料で提供され、快適なソファでリラックスしながら搭乗時刻を待てるのは、一度経験したら元に戻れなくなるでしょう。物価高が続く海外などでは、搭乗の待ち時間を空港内のレストランなどで過ごすだけでもかなりコストがかかります。それらも、ラウンジが利用できれば快適な環境を無料で過ごすことができます。

受託手荷物の無料追加も有難い特典です。通常、エコノミークラスでは受託手荷物は1個までですが、上級会員なら追加で1個から2個まで無料で預けられます。

優先チェックインと優先搭乗も便利です。チェックインカウンターで長い列に並ぶ必要がなく、専用カウンターでスムーズに手続きができます。乗り継ぎなどの時間的余裕が無い時でも、優先してチェックインできるので安心感が違います。搭乗時も一般客より先に機内に入ることができ、手荷物棚のスペースを確保しやすく、ゆったりと座席に座れます。

このように、ステータスの価値は頻繁に旅行する人ほど実感でき、たとえ年に数回しか飛行機に乗らない人でも、その数回の旅行体験が格段に快適になるので、一度その価値を経験すると元の旅行に戻ることは難しいでしょう。

貯めたマイルを無駄にしない使い方

マイル有効期限の現状:日本と世界のルール比較

マイルには有効期限があり、期限を過ぎると自動的に失効してしまいます。(先ほどのFLY ONポイントやプレミアムポイントは1年(12月31日)でリセットされます)せっかく貯めたマイルを無駄にしないためには、有効期限のルールを正しく理解しておくことが重要です。

日本の主要航空会社のマイル有効期限は基本的に3年間です。マイルが付与された月から数えて36ヶ月後の月末に失効する仕組みです。

ただし、JALでは2025年1月に開始された「JAL Life Status プログラム」で一定のグレードに達している方は有効期限が5年または無期限になりました。「JALマイレージバンク完全ガイド」こちらの記事で詳しく解説しているので宜しければご確認ください。

一方、ANAも基本的には3年間の有効期限となっています。ただし、期間限定マイルや用途・期間限定マイルなどのキャンペーンで取得したマイルはそれぞれのキャンペーンによって有効期限が異なるのでチェックが必要です。また、ANA「ダイヤモンドサービス」メンバー期間中はマイルが失効しません。※こちらも後日別途記事で詳しく解説します。

海外の一部の航空会社では無期限の航空会社もあるので、マイレージサービスに入会する際はその点もチェックしましょう。

有効期限のルールは航空会社によって異なり、また変更されることもあります。定期的に最新情報をチェックし、自分の貯めているマイルの有効期限を把握しておくことが大切です。

マイルを失効させない使い方

せっかく貯めたマイルを失効させてしまうのは非常にもったいないことです。有効期限を管理し、マイルを無駄にしないためのコツをいくつかご紹介します。

当たり前のことですが、最も基本的なのは定期的にマイル残高と有効期限を確認することです。航空会社のウェブサイトやアプリにログインすれば、現在のマイル残高と、いつ失効するマイルがあるかを確認できます。定期的にチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。

もし有効期限が迫っているマイルがあり、特典航空券の予定もない場合は、少量のマイルで交換できるものを選ぶのも一つの手です。例えば、電子マネーへの交換、提携店での買い物、「e JALポイント」や「ANA SKYコイン」への交換など。1マイルあたりの価値は下がりますが、失効させてしまうよりは有効活用できます。

また、マイルの有効期限を延長する裏技もあります。一部のクレジットカードでは、カード決済で貯めたポイントをマイルに交換するタイミングを自分で選べます。つまり、ポイントの状態で貯めておき、必要なときにマイルに交換すれば、実質的に有効期限を延ばせます。ただし、ポイント自体にも有効期限があることが多いので、この方法を使う場合はポイントの有効期限も確認が必要です。

家族間でマイルを合算できるサービスも活用しましょう。JALやANAでは、家族のマイルを一つの口座にまとめられる「家族マイル」や「マイル合算」といったサービスがあります。家族それぞれでは特典航空券に届かなくても、合算すれば交換できるということもあります。

まとめ:お得旅の基本 「マイレージプログラム」

ここまで、マイレージプログラムの基本的な仕組みから、貯め方、使い方、管理術までをお伝えしてきました。マイルは単なるポイントではなく、使い方次第で大きな価値を生み出す強力なツールです。

注目すべき点は、マイルは飛行機に乗らなくても日常生活の中で貯められるということです。クレジットカード決済やポイントサイトの活用など、陸マイラーとしての活動を継続すれば、あまり飛行機に乗らない人でもマイルを貯めることができます。

そして、貯めたマイルを特典航空券や座席アップグレードに使えば、通常では手が届かないような旅行体験が現実のものになります。浮いた航空券代をホテルのグレードアップや現地でのアクティビティに回すなど、同じ予算でもワンランク上の旅も可能になります。

有効期限の管理も忘れずに。せっかく貯めたマイルを失効させてしまっては意味がありません。定期的に残高確認をしてマイルを無駄なく活用しましょう。

マイレージプログラムは、旅を楽しむ方にとって強力な味方です。あなたの次の旅が、マイルによってさらに特別なものになることを心から願っています。


最後までお読み頂きありがとうございました。何かご質問やお悩み、実践してみたいことがございましたら、ぜひコメント欄でお聞かせください。皆さんの旅がより賢く、思い出深い旅行になるよう、できる限りお手伝いしたいと思います。

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